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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)2248号 判決 1969年3月31日

本店所在地

大阪市南区河原町二丁目一五一〇番地

名称

戎商事株式会社

代表者

清算人 境辰蔵

本店所在地

大阪市南区河原町二丁目一五一〇番地

名称

戎産業株式会社

代表者

代表取締役 境辰蔵

本籍

大阪市南区難波新地六番丁一一番地

住居

堺市上野芝向ケ丘町五丁目一四六〇番地

会社役員

境辰蔵

明治三四年四月二一日生

右各会社並に被告人に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官豊島時夫出席のうえ審理を逐げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社戎商事株式会社を罰金一千万円に

被告会社戎産業株式会社を罰金七百万円に

被告人境辰蔵を懲役十月に

但し被告人境に対し本裁判確定の目より三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社戎商事株式会社は、大阪市南区難波新地四番町一一番地戎橋会館等に本店を置き、昭和四〇年七月二四日まで手形割引等による金融業を営んでいたものであり、被告会社戎商事株式会社は同市西区北堀江上通一丁目六番地新四ツ橋ビル等に本店を置き、昭和四〇年七月二二日から右と同様の営業をなしているものであり、被告人境辰蔵は右各被告会社の代表取締役としてそれらの業務全般を統括していたものであるところ、

第一、被告人境は被告会社戎商事株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企図し、同被告会社の昭和三九年八月一日から同四〇年七月二四日までの事業年度における実際所得額は一六三、〇〇六、六〇五円でこれに対する法人税は六〇、一三二、二〇〇円であつたのにかかわらず、公表経理から貸付利息の一部を除外するなどして右所得の全部を秘匿したうえ、昭和四〇年九月二八日大阪市南区内所轄南税務署長に対し、右事業年度における所得は欠損五三二、六四四円で納付すべき法人税は存しない旨ことさら内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、右法人税は法定の期限を経過するも納付せず、もつて不正行為によりこれを逋脱し

第二、被告人境は被告会社戎産業株式会社の業務に関し法人税を免れようと企図し、同被告会社の昭和四〇年七月二二日から同四一年七月一五日までの事業年度における実際所得額は一一九、〇三二、五五三円で、これに対する法人税は四二、六五六、五〇〇円であつたのにかかわらず、前同様にして右所得の全部を秘匿したうえ、昭和四一年九月一四日大阪市西区内所轄税務署長に対し、右事業年度における所得は欠損三四二、九四七円で納付すべき法人税は存しない旨ことさら内容虚偽の法告人確定申告書を提出し、右法人税は法定の期限を経過するも納付せず、もつて不正行為によりこれを逋脱したものである。

(証拠の標目)

判示第一の事実につき

一、 久木栄一の証明書(四三、二、二八付戎商事の分)

一、 三浦和子の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、 山田太郎の証明書

一、 押収に係る千成商事関係書類(昭和四四年押第一二八号12)元帳(同号14)領収証(同号23)

判示第二の事実につき

一、 久木栄一の証明書(四三、二、二八付戎産業の分)

一、 謙苅卵三郎の供述書

一、 検察官と弁護人の合意書面

一、 起訴状謄本

一、公判調書謄本二通

一、 速記録謄本

一、 告訴状謄本

一、 境辰蔵の司法警察職員に対する供述調書謄本三通

一、 大内栄勝の検察官に対する供述調書謄本

一、 大内隆雄の検察官に対する供述調書謄本

一、 押収に係るメモランダム表記ノート(昭和四四年押第一二八号7.8)メモ書(同号9)、貸付メモ綴(同号10)元帳(同号15)使用済約束手形(同号16)元帳(同号19)

全事実につき

一、 境良蔵の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一、 桑田公文の確認書二通

一、 山田太郎、奥野猛、大谷雄次郎、佐川英雄の各調査てん末書

一、 古川昭三外四七名の各照会回答書

一、 被告人の当公廷における供述並に大蔵事務官に対する各質問てん末書並に検察官に対する各供述調書

一、 押収に係る試算表綴(昭和四四年押第一二八号1)手帳(同号2)銀行勘定帳(同号3.4)金銭出納帳(同号5)元帳(同号6)メモ帳(同号11)手形記入カード(同号13)期日表控(同号17)銀行関係メモ(同号18)貸付帳(同号20.21.22)

(法令の適用)

法律に照らすと判示各罪は法人税法第一五九条第一項(被告会社につきさらに同法第一六四条第一項)に該当するので、各被告会社に対しては情状により同法第一五九条第二項によりその罰金額を前示逋脱法人税額に相当する金額以下とすることとし、被告人に対しては所定刑中いずれも懲役刑を選択したうえ、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条第一〇項により犯情の重い第一の罪の刑に法定の加重をなした刑期範囲内において、被告会社戎商事株式会社を罰金一千万円に、同 産業株式会社を罰金七百万円に、被告人を懲役一〇月に各処し、情状により同法第二五条第一項を適用して本裁判確定の日より三年間被告人の右懲役刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 村上幸太郎)

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